とても多くのトレーダーが、リスク管理の重要性を軽視しています。FX取引の方法を理解している成功しているトレーダーは、お金を稼ぐことよりもお金を失わないことにより注意を払っています。成功しているトレーダーと全財産を失うトレーダーの差が運の差ということは稀で、むしろリスクのある取引に対する露出をいかに管理するかということと、自分がどんなトレーダーになりたいかということの理解の差にあることが一般的です。
成功しているトレーダーは、プロのスナイパーが全ての失敗する可能性について予め想定し、それらを防ぐ為に出来ることは全て行うかのような正確さで、一つ一つの取引に取り組みます。FX取引においては、その方法は3つの基礎的な要素にまとめられます。
- 取引する通貨ペアを理解する
- 自分の限界を理解する
- 勝敗レシオを設定する
1. 取引する通貨ペアを理解する
リスク管理において最も見過ごされている要素の一つが知識です。知識があれば取引活動はより運任せではない、経験に立脚したものになります。通貨ペアに投資する前に調査をしてください。取引に影響を与えるニュース項目を調べ、市場のセンチメントを測定してください。過去のチャートを開き、その通貨ペアが過去にどのようにイベントに反応してきたかをチェックしてください。
取引開始前に、現在のチャートを見て、ニュースイベントのカレンダーを確認し、その通貨ペアがこれからどのように上がるのか下がるのか、どの価格でポジションを取るべきかを考えてください。通貨市場の変動を見て、ストップロスとテイクプロフィットを設定してください。
2. 自分の限界を知る
プロフェッショナルトレーダーは、一度の取引で自分の資本の2%~3%以上をリスクにさらすことはありません。これを実現する為に、自分の口座の取引リスクを計算し、それ以上の決断を自制しなくてはなりません。リスクに影響を与える要素は5つあります。
- pipsで測定されたストップロス
- ロット毎の金額で表されたpip価値
- ロットで表されたポジションサイズ
- 資本(金額)
- 利用レバレッジ
米ドルでリスクを計算する
下記は、口座の米ドル表示のリスクの計算事例です。
リスクの口座資本に対する割合を計算する
そして自分の口座のうちの何%にあたるかを表します。
レバレッジを使用する場合のリスクを計算する
レバレッジ は素晴らしいツールですが、取引のレバレッジを高めるに従い、口座に対するリスクは高くなります。利用レバレッジは下記のように計算に取り入れられます。この例では1:10のレバレッジを例として使用しています。
このような計算をすることで、自分の限界がどこにあるのか、その水準が口座に対してリスクが高すぎるのかどうかが分かるでしょう。ある取引にどれほど自信があったとしても、常にその取引が自分の思わぬ方向に行くことはあり、だからそれぞれの取引でリスク管理をすることが不可欠です。そういうわけで、自分に合った勝敗率を設定してください。
3. 勝敗率を設定する
トレーダーが長期的に成功する為には、リスク以上の利益を得なくてはなりません。優秀なトレーダーは、一般に、取引で得られる利益よりも低いリスクを取ります。従うべき絶対的な勝敗率はありません。勝敗率は、取引の長さや取引をしているペアによって異なるからです。目標は、可能な限りリスクを最小化し、利益を最大化することです。

通貨ペア別の平均利益と平均損失 - 出所:DailyFX
ある米国最大の個人向けFXブローカーが顧客の数百万の取引を分析した結果、多くのトレーダーは間違っておらず、むしろ正しいにも関わらず、資金を失っていることが分かりました。同社は、トレーダーが長期的に資金を失っている唯一の原因は、「勝った取引で利益を出している以上に負けた取引で多く損失を出していることである」と結論づけました。
低い勝敗率:リスク・オブ・ルーイン
リスク・オブ・ルーインとは、全ての取引資本を失う可能性のことを指します。毎回の取引に5%のリスクがあるとしましょう。また「リスク・オブ・ルーイン」と「リスクリワードレシオ」の両方の概念をこの例に取り入れましょう。(下記図表1参照)
「リスクリワードレシオ」が高い程、トレーダーが必要とする勝率は低くなります。

図表1:破滅リスクの表の例– 毎回の取引でエクイティの5%のリスクを取った場合
結論
FX取引はお金を生み出すビジネスや、市場の予測ビジネス、金融セクターの一部ではありません。FXトレーダーが行っているのは、リスク管理ビジネスであり、自分たちのことをリスク管理会社だと考えなくてはなりません。リスクリワードレシオが高い程、FXトレーダーはより大きな成功を収めることが出来るのです。